飛んで火にいる夏の虫‐自分を知ること

もうウン十年前の話になりますが、学生の頃は教会さえ出れば理想の世界を見つけられると思っていました。

気の合う仲間、好きな仕事、安定した生活・・・しょうもない甘ちゃんだったわけですね(笑)

 

“外”の人たちが激しい競争社会の中でどれほど死に物狂いで努力しながら生きていて、その中で繰り広げられる喜怒哀楽と愛憎のドラマを目の当たりにしたとき、教会内の“理想”しか知らなかった私にはまさに弱肉強食の世界でした。

 

 そのように自分のみを信じて強く生きようとしている人達の姿に大きな尊敬と憧れを感じると同時にこの現実に対する重圧感と恐怖で押しつぶされそうになりました。 

 (すでにずっと鬱気味だったのもあります。)

 

留学先で友人からよく言われたのは「You are so naive」=世間知らず・純情だね、でした。

流行や男女関係そして成功するために必要な処世術などなにも知らない私はよほどまぬけに見えたことでしょう。 

かと言って周りの子たちのように自由奔放になる勇気もありませんでした。

完全な教会の温室育ちの私には一般の常識はあまりにも過酷でした。

 

留学先に私の教会は無く、2世もおらず、一般の子たちとなじむこともできず、なんの覚悟も準備もしていなかった私はとても中途半端な立場で外に出ても結局葛藤ばかりの学生生活送るしかありませんでした。 せめてもの救いは英語が好きだったのと周りが他宗教にもオープンな環境だったという点でした。

 

あの時は「なぜ私ばかりこんなつらい目にあうのか」と常に怒りで心を焦がしていましたが、要は自分の実力と自分自身をよく分かってなかったの一言に尽きると思います。

 

自他とも認める天性の才能があったり、外にいってもしっかりと導いてくれる人物、仲間がいたり、目標を達成するためのしっかりした(かつ現実的な)計画があるなら、”外”に飛び出すことは勇気あるチャレンジと言えるでしょう。

 

でももしあなた昔の私のように世界を単純な白と黒(好き・嫌い、良い・悪いなど)としか考えず、ただ感情に任せて出ようとするなら、それは無鉄砲でありひどい遠回りになると危険性が高いと言わざるを得ません。

 

私のようにもともと頑固でわがままな性格の場合、このような荒治療が有効?だったとも言えますが、また同じ経験をしろと言われれば絶対に避けたいものです(笑)

 

2世の生活を一秒でも早く逃げ出したいという気持ちは痛いほど分かります。

それは本心の叫びであり、抑えようとして抑えられるものではないことも知っています。

最終的に外へ出れる自分になることがあなたの運命なのかもしれません。

 

ただあなたがもし私よりも運が良ければ、少しだけ冷静になって素直に今の自分の足りない部分を認める勇気を持もってから行動してもらえることを願ってやみません。